日本からアメリカに中古車を輸入するための規制
アメリカに輸入するためにルールを決めた公的機関
アメリカで車を走らせるには、アメリカ運輸省(DOT)の道路交通安全局(NHTSA)が定める連邦自動車安全基準(FMVSS)に適合していて、下記の規制をクリアしている必要があります。
- 1966年自動車安全法(1988年改正)による安全基準
- 1972年自動車情報およびコスト節減法(1978年施行)によるバンパー基準
- 1968年クリーンエア法による大気汚染管理基準
米国運輸省道路交通安全局NHTSA ( https://www.nhtsa.gov )
日本で公的な貿易機関は日本貿易振興機構JETRO ( https://www.jetro.go.jp )
JETROが公開する"中古車の現地輸入規制および留意点:米国向け輸出"
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-021214.html
私はNHTSAとJETRO、そして私が使っている中古車を輸出する船の会社に現在確認中です。
その中で得た情報は下記になります。
もしご自身でも確認をしたい場合は、上記の公的機関に一度お問い合わせをして確認してください。
製造されてから25年以上経った車をアメリカに輸入することができる
アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)のうちの、税関や国境警備を担当する部門「アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)」によれば、輸入をしても適合しない輸入車は下記のいずれかを施さなければならないと案内している。
- 適合作業
- 再輸出
- 破壊
しかし肝心なのがこの法律に規定されている例外がある。
ここでは「連邦自動車安全基準に適合しない外国製自動車でも、製造から25年経過していればこの法律による規制の対象外とする」と書かれており、これが俗に日本側で呼ばれている「25年ルール」となる。
つまり「25年ルール」は「規制」ではなく「例外」です。
“Imported Vehicle Safety Compliance Act of 1988, Pub. L. 100-562, 102 Stat. 2812”
NHTSAが輸入不適合車を規定しているeligibility listには、「FMVSSに適合していない自動車の輸入は禁止されているが、それは少なくとも25年以上(製造年月日に基づく)経過した自動車には適用されない」と記されている。
つまり製造から車齢25年をすぎたクルマは、輸入するうえでFMVSS適合を証明する必要がなくなるのである。
正確には25年経っていないクルマでも下記をすれば輸入は可能である。
- FMVSSへの適合を証明する
- 適合させるための改造をする
ただし、そのハードルが極めて高く、実質的には実現が困難であるため、みな25年が経過してFMVSSの適合証明をする必要がなくなるのを、今か今かと待っているというわけです。
25年以内の車をアメリカに輸入する方法
製造後25年を待たないでアメリカに輸入する方法も実はいくつかあります。
中でも最も合法的手段なのがFMVSSで定められている特例 “Show or Display” があります。
“Show or Display”
NHTSAが認めたルールです。「歴史的もしくは技術的価値のあるクルマ」を特別に輸入し、下記のルールを満たすことが条件となっています。
- 展示や整備に必要な走行に限る
- 年間2500マイル(4000km)まで公道を走行可能
これなら製造後25年経過していなくても、歴史的もしくは技術的に貴重と認められたクルマなら走ることが可能となる。
NHTSAに特別に認可された自動車のリストはNHTSAのウェブサイトで公開されている。
アストン マーティン DB7ザガートクーペや、アストン マーティン One-77、フェラーリ J50、マクラーレン スピードテイルなどのスーパーカー以外に、日産 スカイライン GT-R M-spec Nür、日産 スカイライン GT-R V-spec ミッドナイトパープルII、スバル インプレッサ 22B-STiバージョンなどの「超レア」な限定車も含まれる。
製造されてから21年経っている車もアメリカに輸入できる
“Imported Vehicle Safety Compliance Act of 1988, Pub. L. 100-562, 102 Stat. 2812” と “Show or Display”の他にも一つ例外があります。
“Clean Air Act(大気浄化法)”
これはアメリカ合衆国環境保護庁の定める基準に適合しないエンジン、そしてそれを搭載する自動車の輸入を禁じているというもの。
そして例外規定として下記の2点をクリアしていれば輸入して良いというものだ。
- 工場出荷時の状態と同じ仕様のエンジンを搭載していること
- 製造後21年経過していること
アメリカの環境保護庁(EPA)が基準を定める排ガス規制についても、諸条件を満たした車齢21年以上のクルマに関しては、輸入するための規制は免除されることになっている。
「25年ルール」ほど知られていないのは、そもそも「自動車の登録」の時点で製造後25年経過している必要があり、25年経過しているということはEPAの21年ルールも自然と経過しているからだ。
先述の “Show or Display” の場合、たとえ製造後25年経過していなくても、EPAの21年ルールは適用されるので要注意。
その他に気を付けること
車の登録をする州の規制を確認すること
住んでいる州で登録ができるかどうかは、輸入できるかどうかとは別の問題で確認する必要があります。州ごとに定められた排ガス試験はクリアしなければならない。とくにカリフォルニア州は排ガス規制がきびしく、EPAが定める基準よりもきびしい基準が設けられている。
コレクションや私有地のみでの走行するという方法もある
あくまでコレクションと捉えているオーナーも多くいます。イベントに参加するとき、またサーキットを走るときだけトレーラーで牽引すればいいので、州に登録する必要もなく輸入して保有している人も沢山います。
軽トラなどは広大な敷地内の移動に使ったり私有地を移動するだけなのでこれらも州に登録する必要なく輸入して日本の中古車を使うことができます。
個人使用限定の一時的輸入特例がある
個人の永続的使用のための輸入は商用輸入と同じ規制を受けますが、非居住者が1年未満の個人使用目的のために無税で排ガス基準非適合車、FMVSS非適合車(右左ハンドルを問いません)を輸入することができます(排ガス基準、FMVSSに適合するための改造の必要はありません)。ただし、米国内での売却はできず、1年以内に日本へ積み戻ししなければなりません。排ガス基準非適合車の一時的輸入の場合、EPAの許可書を税関に提出する必要があります。